minus

そうげんに建てた、しろい建造物の、風にはためく繊毛に、眩しさのあまり暗い、まなざしはからめとられ、規則ただしく、満ちる、けれど、喋らないでいる、全体が、らせんをえがくように、とうめいの、層になって、うちがわから、消える、わたしは、模写していた、日記帳のさざめきから、夜の、台所のさざめきまで、すべて、網羅しておきたい、どこまでも、羽ばたくそぶりで、題名をあたえ、風をすく、草花には、柩がないから、あいすることができない

それから、ポケットのなかの、貝がらとか、お家のような、しろい化石から、猫をつれて、そうげんへアクセスする、分かれることなく、ひとつしかない道は、打ち捨てられた日傘のしたの、蟻の葬列、それは、きらきらとたちのぼる、あまい、梨の匂いにも似た、あまい逃げ水の、その向こうにあるそうげんへ、つづいている

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2015年に書いたものに少しだけ手をくわえた。