なつやすみ

ゆめのなかをひらく水辺のような襖だ
その先も またその先にも
傾斜したふうけいが見える

ねむるようにひたされた草花はいくども
記憶をひきついでそこに生まれ

まぶたのなかをただよう暈が その色や質感が
ただひとりのものでないことに驚く


とぎれとぎれの冒険にうかぶ月のように
たとえばきみとか わたしが
流れていくうえで
どこにも投函されない
などということがあるのだろうか